パート1からの続きである。
あっさりと被相続人情報に辿り着く
前稿で被相続人についてまったくわからないと書いていたが、あの時点では両親から電話で話を聞いただけだった。
思い込みと希望、「こうであるべき」「こうでないと困る」てのと、世の中から置き去りにされているような被害妄想的な少し拗ねたような気持ちが複雑怪奇に混じり合い、挙句とんでもない虚構が出来上がったりするのが年寄りの話だ、ということが近年自分の親と付き合ってきてわかった。
情報も見落としくらいはかわいいものである。と思っておこう。
さて週末に実家にこの件の発端となった郵便物の現物を見に行った。なんと、被相続人の住所も氏名もきちんと記されているではないか!どうにもお粗末なテイタラクだが、やはり自分がこの件の処理を引き受けざるを得ないことも同時に実感できたのであった。
情報さえ得られれば後はすんなり
そもそも被相続人の戸籍謄本と住民票(除票)を取得するのに住所がわからないのではなぁ…、と困っていたわけで、それがあっさりと示されている今、話は早いわけである。
早速通知書を送ってきたT県Y町の役場に電話をかけてみたところ、次のようなことがわかった。
- この通知は相続順に送ることになっており、上位者で解決すれば下位のものに送付(請求/義務が発生)されることはない。
- 兄弟4人に対して本来等分される異父あるいは異母兄弟については半分の割合が課される。
- 被相続人の戸籍謄本と住民票は役所に郵便で請求できる。請求が届けば翌日には発送可能である。
上記1〜3を今回のケースに当てはめてこう理解した。
- 相続の順位としては(亡くなった人の)1.配偶者 2.子 3.父母・祖父母 4.兄弟姉妹 となるので、父のもとに請求が降りてきたということは、すでに上位の者たちには支払い義務がなく、かつ、債務は残っているということになる。つまり妻子・父母・祖父母すべては相続を放棄したとみなしてよさそうである。
- 総額を1:1:1:0.5に分けているので父の負担は1/7ということになっている。総額63,400円をみんなして逃げ回っているわけである。なんとも滑稽な図のように思えて馬鹿馬鹿しい。
- 郵送にかかる日数を3日とみて、こちらが請求してからあちらの書類が到着するまでおよそ1週間かかる。郵送という手段を取る限り日数は常に計算に入れておかねばならない。
とにかく被相続人の戸籍謄本と住民票はY町に請求することになりそうなので、役場の担当者に手続きの方法を詳しく聞いた。担当の方は丁寧に申請書のダウンロード先から書類の記入例まで教えてくれた。
説明の中で、戸籍謄本を取得するには期間などを指定しなければならないということを初めて知った。今回の手続きのためにいつからいつまでを取得すればいいのかは、相続放棄の申請の詳細を知らねばならないということがわかったので、続いてT県のK家庭裁判所に電話をかけた。
相続放棄の申請方法
K家庭裁判所でも懇切丁寧にその方法について教授していただいた。
最高裁判所のWebページから「相続放棄」というキーワードでサイト内検索をかけてヒットした一覧から甲府家庭裁判所の情報がよくまとまっており、必要書類についてはここからダウンロードすれば一式揃う。
書類の書式は全国で統一されているので、どの裁判所のページからダウンロードしても構わない。
申請するには前稿でも書いた通り、800円の収入印紙と84円切手が5枚必要である。電話でも同じように言っていたのだが、ダウンロードした必要書類の一覧には10円切手5枚も必要なように書いてある。これはまた電話をして尋ねる必要がありそうだ。
基本的には申述書に記入して一覧表を見て必要書類を揃えて郵送すれば良いらしい。郵送で手続きをする人も割にいるような話ぶりだったので安心しつつ、担当者と必要書類をチェックしていく。
ところがここでまた厄介なことが判明する。
https://www.courts.go.jp/koufu/vc-files/koufu/2021/2021-8-1.pdf
上のPDFファイルがその一覧なのだが、今回の父はこの一覧の4番【「第3順位」放棄する人(申述人)が被相続人(亡くなった方)の兄弟姉妹】にあたる。そこにはこうある。
※先順位者がいる場合は,その方の相続放棄申述が既に受理済みであることが必要
□ 被相続人の住民票の除票(マイナンバーの記載がないもの)又は戸籍附票
□ 被相続人の出生時から死亡時までの間の各戸籍謄本(=被相続人が載っている戸籍のすべてを取ってください)
□ 被相続人の(□父母/□祖父母)が死亡している場合は,死亡の記載のある戸籍謄本
□ 放棄する人の現在の戸籍謄本(3か月以内のもの)
なんと相続放棄というのは相続人(申述人)と被相続人との関係によって、必要となる書類が違っていて、今回の父の場合は(上の3つ目のチェックボックスにあるように)父の父(つまり僕から見ると祖父)の「死亡の記載のある戸籍謄本」も必要なのだ。
さてはて、どうしたものか。父の血縁者との付き合いは皆無、所在ももちろん知れない。被相続人と同じ本籍地であってくれれば世話はない(こともないが…)。しかしその確証はなく。
うーん…。かろうじての手がかりは父の元の本籍地がわかっていることか。
実は僕の若い頃の本籍地も父が本籍を現住所に移すまではそこだった。自分には帰る田舎と呼べるところがなかったが、本籍地が(言っちゃあ悪いが)田舎っぽいところの住所なのがなんとなく気に入っていて、今でもその住所をそらんじて言うことができる。
思い出に浸っていても時間が過ぎていくばかりだ。相続放棄は「相続の事実を知ってから3ヶ月以内」に裁判所に手続きをせねばならない。
とにかく僕が覚えている「本籍地」であるT県のH町に電話をしてみよう。この話、まだ続くんだよ。
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